春になると、赤くてかわいい実をたくさんつけてくれるいちご。
冬を越して再び葉を伸ばす姿を見ると、「まだまだ元気そう」と思うかもしれません。
でも実は、いちごの株にも“寿命”があります。
古くなった株をそのままにしておくと、実の数が減り、味もだんだん落ちてしまうんです。
この記事では、実際に何年も地植えで育った古株を掘り上げた写真を交えながら、
親株の寿命・古株の見分け方・株更新のタイミングと方法を詳しく紹介します。
親株の寿命はどのくらい?
いちごは多年草ですが、同じ株を長く使うのには限界があります。
一般的な寿命の目安は以下の通りです。
| 年数 | 株の状態 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1年目(秋植えの場合) | 苗を植えて株を育てる時期 | 花がついても実は少なめ |
| 2年目 | 株が充実し、最も実がよくつく | 甘さ・収量ともにピーク |
| 3年目以降 | 株元が木のように固くなる | 実が小さく、味も落ちやすい |
3年目以降も生き続けることはありますが、
木質化(もくしつか)して根が老化し、養分の吸収力が落ちていきます。
やがて葉が小さくなり、病気にもかかりやすくなるのが特徴です。
放置するとどうなる?実際の変化を写真とともに

(写真1:地植えで放置していたいちご)
我が家のいちごも、最初はプランター栽培でした。
ランナーがどんどん伸びて、地面に根づいたまま広がっていき、
いろいろ植え替えたりしたのですが、今では写真のように地植え状態になっています。
最初のいちごを植えてもう10年以上、
これまでは、枯れた株だけ処分していたのですが、古株を掘り起こしてみることにしました。

(写真2:株元が木のように固くなった古株)
よく見ると、一番大きないちごの親株の根元部分が、地上からかなり出ていました。
何年目の株なのか自分でも分かりませんが、株元が木質化しているのに驚きました。
古株も小さいながら、いくつか実を付けましたが、やはり味の方はすっぱめ。
いちごは多年草でも、同じ株を使い続けると味の劣化は避けられませんね。
古株の特徴と見分け方

(写真3:掘り起こしたいちごの古株)
掘り上げた古株は、根元の直径が2cmほど。
茎は木のように硬く、根が地中深くまで20cm以上伸びていました。
まるで小さな樹木のようになっていて、何年もその場所で生きていたことがわかります。
外見上は元気そうでも、株元をよく見ると古株かどうかがすぐに判断できますね。
| 見た目の特徴 | 状態・サイン |
|---|---|
| 根元が木のように硬い | 年数が経った古株 |
| 株元が地表から盛り上がっている | 長年根が張り続けた証拠 |
| 葉が小さく、ランナーが出にくい | 栄養が行き届いていない |
| 実が小さい、数が減る | 老化のサイン |
下記の画像は、2年目のいちごです。
まだ根元がやわらかく、茎がまっすぐ伸びていて、葉の勢いが感じられます。

(写真4:いちごの親株/2年目)

(写真5:いちごの親株/3年目)
3年目の株になると、株元がやや太く硬くなってるのがわかりますね。
それ以降、古株ではまるで木の幹のように変化していきます。
古株を残す?それとも処分する?
「古株もまだ生きているからもったいない」と思うかもしれません。
でも、いちごは更新していく植物。
古株をそのまま残しても、良い実はなりにくく、味も落ちてきます。
1年目に株を育て、2年目にいちごが実る植物だから、毎年新しい苗を翌年のために準備をしておくといいですね。
ただし――処分のタイミングには2つの考え方があります。
①秋に掘り上げて処分する
秋に株が木化していて新芽も少ない場合は、思い切って掘り上げるのが正解。
根詰まりを防ぎ、病害虫の温床を減らすことができます。
プランターや鉢の場合は、土を一度休ませたり、または新しい土と入れ替えるのがベストです。
②春まで残して、わき芽を取ってから処分する
株が元気な場合は、冬を越してから春にわき芽やランナーを伸ばさせ、新しい株をとる方法もあります。
ただし、株の勢いが落ちているようなら無理せず処分するのも一つの手です。
メリット
- 元気な子株を採取できる
- わき芽で増やすこともできる
- 苗を買い足さずに更新できる
デメリット
- 子株に病気を持ち越すリスク
- 根が張りすぎて他の株の生育を妨げる
- 栄養が分散し、翌年の実つきが悪くなる
古株の掘り上げ時のコツと注意点

(写真6:古株の根元を深めに掘っている途中)
いちごの古株の根は、地中深くまで伸びている場合もあります。
今回掘り上げた株は、太い根が20cm以上ありました。
掘り上げるときは、思った以上に深く掘るのがポイントです。
- スコップで株のまわりを広めに掘る
- 根を傷つけないよう、株をゆっくり持ち上げる
古株の周りの土には、古い根や病原菌が残っていることがあります。
植え替えや株更新の前に、土づくりもリセットしておくと安心です。
親株の寿命を延ばすには?
いちごの寿命を少しでも延ばすには、株の環境を整えることが大切です。
肥料のあげ方や株間のとり方を意識してあげると、長持ちしやすくなります。
- 元肥を控えめにして追肥で調整する
- 株が密集しすぎないよう、風通しを確保する
- 花後に古い葉を整理して病気を予防する
夏場の高温期に株元をマルチングして乾燥を防いだり、冬の寒風を避ける工夫をしたりするのもいいです。
ただし、どんなに手をかけて寿命を延ばしても、だんだん甘いいちごは採れなくなっていきます。
2年目以降の親株は、育てて楽しむよりも子株を採るための株と考えるのが現実的です。
株の更新サイクルと育て方のコツ
おいしいいちごを毎年楽しむためには、次のようなサイクルを意識してみてください。
| 年数 | 株の状態 | おすすめの作業 |
|---|---|---|
| 1年目(植え付け) | 若くて勢いがある | ランナーを伸ばして子株を育てる |
| 2年目(収穫期) | 実のピーク | 子株・脇芽を取って次世代準備 |
| 3年目(古株) | 実が小さく味が落ちる | 掘り上げて処分・土をリセット |
つまり、「1年目に株を育てて、2年目に収穫、同時に次世代を作る」のが理想です。
そうすれば、常に若い株でおいしい実を収穫できます。
ランナーで増やした子株は、秋までに根を張らせておくと翌春に実をつけます。
毎年この更新を繰り返せば、いちごを絶やすことなく楽しめます。
親株の寿命が近づいたら、次の世代を育てる準備をしておきましょう。
まとめ
- いちごの親株の寿命はおよそ1〜3年
- 木質化した株は老化のサイン
- 放置すると実が小さく・酸っぱくなる
- 毎年の株更新が、甘くて元気ないちごを育てるコツ
古株を観察すると、いちごの寿命は自然と見えてきます。
美味しいいちごを楽しむためには、2〜3年で株を更新するのがベスト。
地面に広がるいちごの古株は、次の世代へ命をつなぐためにがんばってきた証のようなもの。
私たちも、新しい子株を大切に育てていきたいですね。


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