植えっぱなしの菊が倒れる原因と、背丈を抑える剪定方法

地植えで植えっぱなしにした菊が背丈が伸びすぎて倒れている様子
季節の花

菊は意外と丈夫な植物で、植えっぱなしにしていても、毎年のように咲いてくれます。

気づけば背丈が1mを超え、花の重みで倒れていた──そんな経験、ありませんか?

最初の頃はきれいに咲いたのに、だんだん茎が長く伸びて支柱なしでは立っていられず…。

地面に倒れたまま、花を咲かせることもよくあります。

この記事では、植えっぱなしの菊が倒れる理由と、背丈を抑えて育てる剪定・管理のコツを、実体験を交えながら紹介します。

菊を植えっぱなしにするとどうなる?

多年草の菊は、放っておいても毎年芽を出します。

けれど、同じ場所に何年も植えっぱなしにしていると、だんだん株の形が崩れてしまいます。

  • 大輪・中輪系の菊:花が大きく、茎に負担がかかる
  • 小菊:枝数が多い小菊も、密植すると倒れやすい
  • 日当たりや風通しの悪い場所:茎が光を求めて細く長くなる
  • 古株:中心がスカスカで、外側の茎だけが暴れる

その結果、花が咲くころには上が重くなり、茎が自分の重みで傾いてしまうんですね。

特に地植えは、肥料や水分を多く吸いやすいので、背丈が伸びやすいです。

倒れやすい菊の特徴

すべての菊が倒れるわけではありません。

特に注意が必要なのは、次のタイプです。

  • 大輪・中輪系の菊:花が大きく、茎に負担がかかる
  • 小菊:枝数が多い小菊も、密植すると倒れやすい
  • 日当たりや風通しの悪い場所:茎が光を求めて細く長くなる
  • 古株:中心がスカスカで、外側の茎だけが暴れる

うちの庭に咲くピンクの菊も、花が大きめで茎もよく伸びます。

植えっぱなしにすると背丈が80㎝以上になるので、支柱なしでは倒れてしまいます。

今年は背丈が低くなるように剪定したのに、いつの間にか、下の写真のように地面に倒れた状態で花が咲き始めました。

茎が長く伸びて地面に倒れた状態で咲きかけているピンクの菊

(写真1:茎が長く伸びて地面に倒れたピンクの菊)

茎が伸びやすい品種は、どうしても倒れやすいので、早めに支柱を立てるようにするといいですね。

背丈を抑える「摘芯(てきしん)」は5〜6月がカギ

摘芯とは、新芽の先端を軽く切って、脇芽を増やす作業です。

これをすると、枝分かれしてこんもりとした形になります。

タイミング

新芽が10〜15cmくらいに伸びたら、摘芯するようにしましょう。

寒冷地や暖地では多少前後する場合があります。

やり方

  1. ハサミを清潔にして、先端の2〜3節(葉が2〜3枚あるあたり)で切る。
  2. 脇芽が出てきたら、その中の元気な芽を残して整える。
  3. 摘芯は遅くとも7月中旬までに。8月以降は花芽に影響するため避ける。

摘芯しておくと、自然と背丈が抑えられ、支柱がなくても安定した株に育ちます。

摘芯をしないと、花の重さで茎が寝てしまうこともあります。

花が終わったら『切り戻し』で株をリセット

摘芯と混同されがちですが、切り戻しは花が終わったあとの整理

つまり、次の年のための準備です。

時期

花が終わったら、葉が枯れてきた頃に切り戻します。

ただし、蒸れてカビが出ている場合は、早めに取り除きましょう。

だいたい花が咲き終わった頃を、目安にするといいです。

地域によって違いますが、霜が降りる前には切り戻しを済ませるようにしてくださいね。

方法

  1. 花がらを取り除く。
  2. 株元から10〜15cm残してカット(新しい芽があればその上で切る)。
  3. 寒冷地では、切った後に株元へワラや腐葉土をかけて防寒。

この作業をしておくと、春に勢いのある新芽が出やすくなります。

切り戻しをせずに放置すると、翌年の株が弱くなることも。

来年、きれいな菊を咲かせるためには、切り戻しのひと手間が欠かせません。

花が咲く前に下葉が枯れるのはなぜ?

花が咲く前に、株元からだんだん下葉が枯れてしまうといった経験はありませんか?

この場合、原因はだいたい次のどれかです。

  • 古い葉の寿命(自然な更新)
  • 密植による風通しの悪化
  • 過湿や根詰まりによる水分・養分不足
  • 夏の乾燥による水切れ

長く植えっぱなしの菊は、株元が木質化して根が詰まりやすくなります。

すると、下の方の葉まで水分や養分が行きにくくなって、どうしても下葉から枯れが出やすくなるんです。

古株になり形が崩れて下葉が枯れ始めた小菊の株

(写真2:古株になり下葉が枯れ始めた小菊)

我が家の菊も植えっぱなしにしていたら、写真のようにだんだん形も崩れ、早い時期から下葉が枯れ始めました。

花が咲くころには、下葉がたいぶ枯れてなくなりそうです。

もし花後に株を整理できるなら、掘り上げて株分け・植え替えがおすすめです。

根をほぐして土を新しくするだけでも、下葉が残りやすくなるので試してみてくださいね。

菊を植えっぱなしでも元気に保つには

3〜4年同じ場所で育てると、株の中心が古くなり、花つきが悪くなります。

そんなときは、株分けか挿し木でリフレッシュすると、またきれいな花を咲かせてくれます。

株分けと挿し木のポイントをまとめました。

菊の株分け(春:3〜4月)

  • 春先、新芽が5〜10cm程度伸びた頃(3〜4月)に株を掘り上げる。
  • 外側の若い部分をナイフで切り分ける。
  • 株間をあけて植え直す。

菊の挿し木(初夏:5〜6月)

  • 柔らかい茎を5〜7cmほど切り取り、清潔な土に挿す。
  • 明るい日陰で乾かさないように管理。
  • 根が出たら、ポットで育てて秋(9〜10月)に地植えにする。

少し手間ですが、この更新を3〜4年に1回するだけで、植えっぱなしでも長く元気な株を維持できます。

年間のお手入れカレンダー

菊を元気に育てるための、年間のお手入れスケジュールをまとめました。

時期ごとにやることをチェックして、株の様子に合わせて無理なく作業してくださいね。

※水やりや切り戻しは、天気や株の大きさに応じて調整すると安心です。

時期主な作業
春(3〜5月)摘芯、古い茎の整理、株分け
初夏(5〜6月)支柱準備、挿し木
夏(7〜8月)支柱の点検、乾燥時は水やり
秋(9〜11月)花の観賞、花がら摘み
晩秋〜冬(11〜2月)切り戻し、株元の防寒

よくある質問

Q. 下の葉が黄色くなってきました。切ってもいい?

A. 青い葉は残してOK。完全に黄色く乾いた葉だけを取り除きましょう。

蒸れの原因になります。

Q. 倒れないようにするには支柱が必須?

A. 小菊なら摘芯をしていれば不要なこともあります。

大菊や花が大きい品種は、早めに支柱を立てておくと安心です。

Q. 肥料はいつ与えればいい?

A. 春と秋に緩効性肥料を控えめに。開花期前(9月頃)には、軽い追肥が有効です。

夏の間は肥料を与えすぎると、茎ばかり伸びるので注意が必要です。

まとめ

  • 植えっぱなしの菊は元気に育つが、放置すると倒れやすくなる
  • 5〜6月に摘芯をすると背丈を抑えられる
  • 花が終わったら切り戻して株を休ませる
  • 3〜4年に一度は株分け・挿し木で更新を

菊は、きちんと手をかけるほど姿がきれいになります。

植えっぱなしでも、摘芯と切り戻しを少し意識するだけで、翌年の花がぐっと見事になりますよ。

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