ミニトマトの脇芽・挿し木でどこまで育つ?秋まで長く収穫するコツも解説

ミニトマトが12月に鈴なりに実る様子。青・オレンジ・赤の実がついた秋冬の第2収穫のイメージ写真
夏野菜

9月の終わり、処分しようと思っていたミニトマト。
花が咲いていたので試しに残してみたら──気づけば12月初旬に276個も収穫できました。

秋冬は赤くならないと思い込んでいたけれど、オレンジや白っぽい状態まで少しずつ成長し続けます。

しかも、収穫して追熟させれば、酸味が抜けて食べやすくなるんです。

トマトって、実は暖かければずっと実をつけ続ける植物なんです。

「もう終わりかな」と思っても、ちょっとしたコツさえ知っていれば、家庭菜園でも秋から冬にかけて驚くほど収穫を楽しめるんですよ。

この記事では、西日本の比較的暖かい地域にある私の畑で、12月に276個を収穫できた“第2収穫の実例”と、その再現方法をすべてまとめました。

9月のトマト、本当に処分して大丈夫?

12月のミニトマトの木。古い葉が枯れ始めても、青・白・オレンジの実が下の方に鈴なりに残っていた様子

(写真1:12月のミニトマト。葉が枯れかけても、実が鈴なりに育つ)

秋になると、

「オレンジ色にはなるけど、真っ赤にならない」 「待っていたら実が落ちてしまった」 「オレンジのトマトを食べてもあまり美味しくない」

多くの人がこんな状況に直面します。

こういう状態になると、「もう処分した方がいいのかな」と考えますよね。私も何度もそう思いました。

でも、実は、秋のトマトが赤くならない理由は「木が弱っているから」ではなく、単純に「気温が低いから」なのです。

そして、オレンジ色や白っぽくなったトマトは、収穫して追熟させれば酸味が抜けて食べやすくなるんです

私も最初は、青いトマトや白くなりかけのトマトを追熟させて食べられるなんて知りませんでした。

でも試してみたら、真っ赤に色づいて、予想以上に美味しく食べられたんです

秋冬でも収穫できる“環境条件”のチェックリスト

テーブルに並べられた大量の赤・オレンジ・白・青いミニトマト、第2収穫の様子。ヘタに茎が付いているトマトもたくさんある

(写真2:大量に収穫したトマトをテーブルに並べた写真)

秋冬にトマトの第2収穫を成功させるには、いくつかポイントがあります。

ミニトマトは、花が咲いてから実が赤くなるまでに、夏場なら30〜40日ほどですが、気温が下がる秋冬は60日以上(約2ヶ月)かかることもあります。

寒くなる前に「実のサイズ」まで成長させられるかどうかが、第2収穫の分かれ目なんです。

最低15℃を下回ると一気に失速する

気温条件:

  • 15℃以上:花が咲き、実がつく
  • 10〜15℃:実の成長はゆっくりだが継続
  • 10℃以下:成長がほぼ止まる

暖地や都市部では11月中旬〜下旬まで、暖かい年なら12月初旬まで第2収穫が可能です。

1日4〜6時間当たれば収穫ライン

日照条件: 1日4〜5時間以上の日当たりがあれば、トマトは実をつけ続けます。ただし、赤くなるまでに時間がかかるので、追熟を活用するのがポイントです。

夏の疲れ具合で結果が変わる

株の状態: 親株が枯れかけていても、根がしっかり生きていれば、脇芽が育ちます。

ミニトマトを秋冬に第2収穫する3つの栽培方法

手と比べて大きさが分かるミニトマトの実。2つの中玉トマトと14個の青いトマトが映っている

(写真3:青い中玉トマトとミニトマトが鈴なりになっている)

トマトの第2収穫を可能にするには、いくつか方法があります。

脇芽を残して育てる

ここで一つだけ、大事なチェックポイントがあります。
それは、植えているトマトが「接ぎ木苗」かどうかです。

接ぎ木苗の場合は、台木(根っこの部分)から出た脇芽は美味しくないので、接ぎ目より上の芽を使ってくださいね。

親株が弱ってきた時期に、株の下の方から出た元気な脇芽を1〜2本残しておくと、それが新しい株として成長します。

親株の根がすでにしっかり張っているため、脇芽は驚くほど早く成長し、花を咲かせるのです。

脇芽を残すタイミングと場所:

  • 実生苗(普通の苗)の場合:
    7月下旬〜8月中旬に下の方から出た元気な脇芽を残す
  • 接ぎ木苗の場合:
    根元の芽はNGです。必ず「接ぎ目(クリップやコブ)」より上の脇芽を残す

挿し木で予備株を作る

中期(6月下旬〜7月中旬)に取り除いた元気な脇芽を土に挿しておくと、秋にちょうど収穫最盛期を迎える若い株に成長します。

挿し木の手順:

  • 脇芽を10〜15cmの長さで切り取る
  • 下の方の葉を2〜3枚取り除く
  • 水に2〜3時間浸けてから土に挿す
  • 根付くまで(1〜2週間)は半日陰で管理、毎日水やり

私は6月下旬に取った脇芽を親株の近くに4本挿したのですが、それもいつの間にか成長して、秋の収穫につながっています。

脇芽を主枝にする『切り戻し栽培』

7月下旬〜8月上旬までに、元気な脇芽が出ている場所の少し上で親株を切り戻します。

これより遅れると、花が咲く頃に気温が低くなりすぎてトマトの実がつかなくなります。

あらかじめ残しておいた脇芽を早めに成長させ、10月の気温がまだ高いうちに着果(実をつけさせること)させるのが成功のカギです。

ポイント:

  • 晴天が2〜3日続く日を選ぶ
  • 切り戻し後は500倍に薄めた液肥を週1回与える
  • 出ている脇芽は2〜3本に絞って育てる

※接ぎ木苗の場合、切り戻した後に根元から勢いよく伸びてくる芽は「台木」の可能性が高いです。これらは育てず、必ず「接ぎ目より上の脇芽」を伸ばして育ててください

【実例:私の場合は「切り戻しなし」でも成功しました】

実は今回、12月に276個も収穫できた株は、親株も脇芽も残したまま伸ばし放題にしたものです。

親株は手が届かないところまで伸びていたので、先端だけ少し切り落としました。

夏の収穫が終わって、木の処分を考えていた頃になってたくさんの花が咲き始め、小さい実がついていたのでそのまま残してみたら、今回の大量収穫につながったのです。

毎年、夏の収穫が終わったら木を処分していたので、トマトの第2収穫ができるなんて、今回初めて知りました。

第2収穫を成功させる管理のコツ

テーブルの上に置かれた、たくさんの青いミニトマトの房。細い枝と葉がついたまま束になっており、オレンジ色の実が2つ混じっている様子

(写真4:収穫する前にミニトマトの大きさが分かるように手を添えた写真)

気温が下がる前に実をつけさせる

10月以降は気温がどんどん下がります。9月中にできるだけ花を咲かせ、実をつけさせることが重要です。液肥を週に1回程度与えて、株の勢いを保ちましょう。

秋のトマトは追熟前提で収穫する

ここが最も重要なポイントです。秋になると、トマトが真っ赤になるまで木に置いておくのは難しいです。

  • 気温が低く、赤くなるまでに時間がかかりすぎる
  • 待っていると実が落ちたり、傷んだりする
  • オレンジ色のトマトをそのまま食べても美味しくない

だから、オレンジ色や白っぽくなった段階で収穫して、室内で追熟させるのが正解です。

私も最初は半信半疑でしたが、常温で数日置くだけで真っ赤に変化。

酸味が抜けて甘みを感じるようになり、驚くほど美味しくなりました。

収穫後に4日間追熟させて真っ赤に色づいた中玉トマトとミニトマト27個がお皿に並んでいる写真

(写真5:収穫後に4日間追熟させてた中玉トマトとミニトマト)

上の写真は、収穫したときオレンジ色だったトマトが、常温で放置していたら4日目には真っ赤に追熟したときのものです。

このくらいなると、固かった実も柔らかくなってとても美味しく食べられます。

追熟の見極めポイント:

  • うっすらと白や黄色、オレンジに色づき始めている(確実に甘くなります)
  • まだ青くても「実が十分な大きさ」に育っており、皮にツヤがある
    (※ビー玉サイズ以下の未熟な実や、ツヤのない濃い緑色の実は、追熟せずにしなびてしまうことが多いです)

追熟の詳しい方法は、「トマトの収穫時期はいつまで?追熟で遅くまで楽しむコツ」で解説していますので、ぜひご覧ください。

寒さ対策を忘れずに

トマトは最低気温が7~8℃を下回るようになったら、低温障害(実がぶよぶよになる)のリスクが高まります。

そして、霜に当たると葉や茎が溶けたようになってしまいます。

私も翌日から最低気温が5℃まで下がる予報が出ていたので、12月1日に全部収穫しました。

最低気温が7℃以下になる前に、実がついているものはすべて収穫すると安心ですね。

よくある疑問に答えます

Q: 11月や12月に青い実がたくさんついていても、もう育たないのでは?

A:実にツヤが出て、うっすら白っぽくなっていれば、緑色のままでも追熟して赤くなります。ただし、ツヤのない濃い緑色の実は、収穫しても未熟で失敗しやすいです。

気温が下がる予報が出たら、色づくのを待たずにすべて収穫し、室内で追熟させるのが最も安全な方法です。

Q: オレンジ色のトマトは本当に追熟で美味しくなるの?

A:トマトは収穫後に糖度自体は上がりませんが、追熟によって「酸味(酸っぱさ)」が分解されるため、相対的に甘みを感じやすくなり、美味しくなります。

Q: 脇芽を残すと、親株の栄養が取られて良くないのでは?

A: 秋の場合は問題ありません。親株が弱ってきた時期なら、脇芽を残して新しい株として育てた方が、収穫量が増えます。親株は遅かれ早かれ枯れていくので、その前に次の世代を育てておくイメージです。

トマトの実際の収穫量は?

青いミニトマトと追熟可能な白色・オレンジ色のミニトマトを分けて並べた写真。青いトマト(左)と、追熟できる白色〜オレンジのトマト(右)お皿に入りきらない様々な色のトマト(手前)

(写真6:青いトマトは違うボールに分けて、追熟できそうなトマトを大きなボールに山盛り)

写真は今回、12月に収穫できたミニトマトと中玉トマトです。
気温が下がる前に全部収穫しました。

12月1日の収穫量:

  • オレンジ色・白色・白くなりかけ:236個
  • まだ青いトマト:40個
お皿に乗せた収穫後のミニトマトと、サイズ比較用に置かれた3つのビー玉。オレンジ8個、薄く色づいた2個、青白い16個のトマトが並んでいる写真

(写真7:収穫したミニトマト、ビー玉を置いて大きさを比較)

上の写真は、収穫したミニトマトの大きさが分かりやすいように、ビー玉と並べて撮ったものです。

大きさはさまざまでしたが、大半が一般的なミニトマトのサイズで、中玉トマトが大きめのミニトマトサイズでした。

私の場合、5月初旬にミニトマトと中玉トマトを1株ずつ植え、夏に第1収穫を楽しんだ後、9月頃に一度収穫が終わりかけました。

ところが、この頃から先端部分に花がたくさん咲くようになったので、木を処分せずに様子を見ていたところ、脇芽と挿し木が成長して第2収穫につながりました。

毎年ミニトマトを育てていますが、こんなに収穫できたのは初めてです。

正直、9~10月の時点では「そろそろ処分しようかな」と何度も思いましたが、花が咲き続けていたので様子を見ていたら、この結果になりました。

まとめ

第2収穫を成功させるポイント:

  • 9月頃、収穫が終わりかけても木を残してみる
  • 接ぎ目より上の元気な脇芽を残して育てる
  • 初期に取った脇芽は挿し木にして予備株を作る(6月下旬〜7月中旬)
  • 切り戻し栽培なら7月下旬〜8月上旬に切り戻す
  • 液肥で栄養補給を続ける(週1回、500倍希釈)
  • オレンジ色や白っぽくなったら収穫して追熟
  • 最低気温10℃以上なら成長継続
  • 霜が降りる前(最低気温7℃以下)に全収穫

トマトは暖かければずっと実をつけ続ける植物です。
適切な方法を使えば、12月まで新鮮なトマトを楽しめます。

来年はぜひ、脇芽や挿し木を活用した第2収穫に挑戦してみてください。予想以上の収穫量に驚くはずですよ!

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